パンを作るのに必要な道具、あると便利な道具とは?このページでは、こんがりのキッチンで実際に使用している道具について、五つ星の評価で必要度を表示しています。
材料用の温度計
室温用の温度計は、パンをこねる作業台周辺の室温を計るのに使用します。 材料用の温度計は、パンづくりに使用する粉、仕込み水 ( 生地に混ぜる水のこと )、こね上がった生地などに直接差し込んで計ります。
初めのうちは、仕込み水は、夏は24〜28℃*、冬は35℃、その他の場合は30℃程度のぬるま湯を使用すればOK。慣れて来たら仕込み水の温度を粉や室温を考慮して適温に設定し、こね上がりの生地の温度が発酵に最適な温度になるように調整します。
仕込み水の水温設定については、Crumb and Crust の関連ページをご覧ください。
*上記の温度設定は、ストレート法による作り方の場合になります。キッチンの環境によって温度は多少調整してください。
デジタル式の秤
パンづくりには、2kg 程度まで計ることのできるデジタル式の家庭用秤 ( スケール ) が便利です。
海外のレシピ本などでは粉類を計量カップで計っているものも多く見られますが、パンづくりでは重さを正確に量ることが大切。特に湿気を帯びやすい粉類、砂糖、塩などは、中に含まれている空気や水分の量によって、同じ1カップの材料でも重さが異なる場合があります。
計量カップはひとつあればOK
日本の計量カップは1カップが 200ml です。
欧米では、1カップが 250ml に設定されている場合もあるので、海外のレシピ本などを利用する際には必ず確認しましょう。
小さじ1/2、小さじ1、小さじ2、大さじ1の計量スプーン
日本の計量スプーンは、大さじが15ml、小さじが5ml です。
砂糖などの固形物の計量には、まず山盛りをすくってから、擦り切って1さじとします。1/2、1/3といった分量も、この方法で計量してから不要分を擦り切って落とします。
海外のレシピ本などでは、大さじ1に相当する1tbs (テーブルスプーン) が20mlに設定されている場合もあるので要注意。ちなみに1tsp (ティースプーン) は日本の小さじと同じ5ml の設定がほとんどのようです。
アメリカのメーカーの電動ミキサー
本体にボウルやハンドルを装着して使用するセミプロフェッショナルな電動ミキサーです。
大量の材料を一度にこね上げたり、バターを大量に使用するブリオッシュなどの生地づくりに便利です。他にも発酵機能付きの便利な家庭用こね機が多数ありますが、パンづくりに絶対必要という訳ではありません。おいしいパンづくりへの第一歩は、手でしっかりとこねて生地の状態を五感で覚えることが大切です。
アメリカのメーカーのフードプロセッサー
ハード系のパンと相性の良い肉類やチーズのペースト作り、生地に直接練り込むドライフルーツなどのペースト作り、そして色々なお料理にも一台あると便利です。
メーカーによってはパンこね機としても使用できる、とされているタイプもありますが、長時間続けて使用するとモーターを痛めてしまうこともあり、3分毎にプロセッサーを休ませなければならない、などの手間もあり、余りおすすめしません。
大、中、小、と3、4種類あると便利なボウル
広い作業台がない場合は、大きめのボウルの中で材料をよく混ぜることをおすすめします。その場合、製菓用 ( クリームのホイップなどに使用する ) の深さのあるボウルよりも、浅めで間口の大きいタイプが使い易くおすすめです。
生地を入れて一次発酵させるボウルには、生地を冷やしがちなステンレス製のものよりも、木製やプラスチック製の方が良いと言われますが、ストレート法などで比較的短時間で生地を発酵させる場合などは、どのタイプのボウルでも大きな違いはないようです。
内側に布地を貼付けていないタイプ
パン・ド・カンパーニュの渦巻きのような模様で知られる藤でできたかごで、ライ麦パンのように発酵の際にダレやすく、空気の循環を好むパンの最終発酵に使用します。麻布やキャンバス生地を貼付けたタイプもあります。
内側にたっぷりと粉を振ってから、パン生地を入れて発酵させます。使用後は、洗わずにブラシなどで粉をはたき落とし、天日干しにしてから保管します。
製菓製パン用品店などで入手できますが、家庭でのパンづくりには特に必要ありません。
キャンバス地の布
成形後の二次発酵に用いるキャンバス (または麻 ) の布のことで、「ベッド ( クーシュ ) 」の役割をします。布に打ち粉をたっぷりとして、形を整えた、バゲットなどのハード系のパン生地を上にのせて、隣り合わせのパン生地との間に「ひだ」を寄せて使用します。発酵中のパン生地の温度を保ち、型くずれや乾燥から守ります。クロワッサンなどのリッチなパンには使用しません。
使用後は生地に残った粉をはたいて取り去り、洗わずに天日干しにしてから保管します。
「ラップをしてから発酵させます。」
パン生地の乾燥を防ぐため、作業中ラップはいつも手近に置いておきます。オートリーズを取っているとき、一次発酵、分割と何かと使用します。
粉のついたボウルはなかなかラップが張り付きにくいもの。そんなときはラップの代わりにシャワーキャップを使用すると便利、しかも何度も繰り返し使えて経済的です。
また少量のバターをポマード状にする場合などには、ラップで包んだバターを指先で暖めながらもむと、簡単にやわらかくすることができます。
冷蔵庫
クロワッサンのようなバターを折り込む生地は、こね上がった生地を冷蔵庫 に入れ、一晩寝かしてからバターを折り込みます。この際、8℃以上になると生地の発酵が進んでしまうので、必ず5℃程度に保ちます。
バターの折り込み作業中も、バターが溶け出して生地がダレるのを防ぐために、頻繁に冷蔵庫や冷凍庫に入れて生地の温度を低く保ちます。
パンづくりを開始する前に、あらかじめ冷蔵庫、冷凍庫にスペースを確保しておくと作業が簡単です。
天板 ( 奥 ) とイタリアのオーブン付属のベーキングストーン
ハード系のパンを焼くときには、あらかじめ天板も予熱しておき、焼く直前に生地を天板に移して焼きます。火傷をしないように十分注意して天板を扱いましょう。
パンはオーブンの中で膨らむので、天板にのせるパンとパンの間に十分な間隔をおきましょう。
さらに本格的に取り組みたい、カリッとしたピザを焼きたい、という場合にはベーキングストーンもおすすめです。ベーキングストーンはオーブンの中にセットし、あらかじめ十分に予熱した上にパン生地をすべらせるようにしてのせます。
繰り返し使用可能なシート
型に入れずに天板に直接生地を並べて焼く際に使用します。
ペーパータイプのものから、何度も洗って繰り返し使用できるシリコン素材のシートまで多種市販されています。天板にオイルを塗って直接パン生地を並べるよりも、繰り返し使えるオーブンシートを使用するとお手入れも簡単で経済的です。
ハード系パンの必需品
ハード系のパンの焼き始めに使用します。焼き始めのパン生地は、十分な蒸気を与えることで、ボリューム、光沢、焼き色が良くなり、パンの皮が薄くパリッと仕上がります。
パンを入れる際にオーブンの扉付近、パンの表面に霧吹きします。オーブンの内側に白熱球が付けられている場合は、霧吹きの水が電球に絶対にかからないように十分注意してください。
オーブンの仕様書などに記載されている注意点を十分に確認し、故障の原因にならないように気をつけましょう。
アルミの小さなチップ状のタルトストーン
霧吹きを使用する以外の方法として、オーブン内に蒸気を入れる方法として使用します。タルトストーンを敷き詰めた天板をオーブンの下段に入れてあらかじめ予熱の際に熱く熱しておき、パンをオーブンへ入れたらすぐにこのベーキングストーンにお皿などに入れた湯を掛けて蒸気を出します。
火傷をしないように十分に注意しましょう。
様々なケーキ型
食パンやブリオッシュなどの型の代用として使用します。
型類などは、必要に応じて少しずつ揃えるのがよいでしょう。必ずオーブンのサイズ、一度に焼けるオーブンの天板の数やサイズなどを確認してから購入しましょう。
上からパレットナイフ、パン切りナイフ、包丁、ペティナイフ
パン作りに最低必要なナイフは包丁(クロワッサン生地などをカットするのに使用)、ペティーナイフ(デニッシュの飾り用フルーツなどに使用)、パレットナイフ(クリームを塗るタイプのパンに使用)、波歯のパンきりナイフ(大きなパンを切って食べるのに絶対必要!)の4種です。
上からカッター、はさみ、ラム
パンに切り目 ( クープ ) を入れるのに使用します。
ラム ( クープナイフ ) は両刃のカミソリをやや弓なりにした状態で棒状の持ち手に付けたもので、主にバゲットなどのリーンなパンにクープを入れる際に使用します。切るというよりは、削ぐように入れると、オーブンの中でバゲット特有の美しく開いたクープに変身します。初心者にはやや扱いの難しい道具です。
家庭でのパンづくりにはカッターとはさみだけで十分。この二つだけでも様々な形のクープを入れることができます。
左からカードとスケッパー
手捏ねパンの取り扱いに欠かせない道具です。
スケッパーは材料を混ぜ合わせたり、生地を切り分けたり、作業台にこびりついた生地をこすり取ったり、といろいろに活躍する万能選手です。
カードは滑らかな生地が破れないようにボウルから取り出したり、生地を型に入れたり形を整えたり、ペーストなどの裏ごしに使ったり、とこちらも大活躍の便利品です。
大きさいろいろの泡立て器
クリームや液体だけでなく、粉類を混ぜ合わせるのにも使用します。
何種類かの粉類を混ぜて使うときなどは、粉類を合わせてボウルに入れて、泡立器でよく混ぜ合わせてからふるいにかけます。
大きなテーブルブラシと大中小の刷毛
テーブルブラシは作業台やパン生地についた余計な粉を払うのに使用します。パン生地に卵液を塗る前に、生地の表面に余計な粉がついていると卵液がのりにくくなるので、必ずしっかりと粉を払います。
刷毛はパン生地の表面に卵液を塗ったり、焼き上がったパンに糖衣を塗ったりする際に使用します。製パン・製菓専用に中くらいのサイズを1本持っていると便利です。
上から粉用ふるいとちいさな茶こし
あらかじめ混ぜ合わせておいた小麦粉などをふるいにかけてから使用します。また手粉 ( 打ち粉 ) も決して捨てずに、何度もふるって使います。
袋詰めされた小麦粉はギュッときつく詰められている状態。ケーキづくりに使用する小麦粉のように何度もふるっておく必要はありませんが、必ず一度はふるって粉類のダマを取り除き、空気を含ませておきます。
茶こしはオーブンへ入れる前のパンの表面に粉をする際、または焼き上がったパンの表面に粉糖を振る際などに使用します。初心者でもムラなくきれいにお化粧してあげることができるので、一本あると便利です。
大中小の麺棒
ケーキクーラー
焼き上がったパンを乗せて、粗熱がとれるまで周囲の空気を循環させます。空気を循環させることで、余分な二酸化炭素や蒸気がパンの内側にこもるのを防ぎ、パリッとしたクラストに仕上がります。
どのタイプのパンを焼いても、必ずこの方法でパンが落ち着くのを待ってからいただきます。熱いうちに食べてしまうとお腹の調子が悪くなる恐れがあります。
「作業台は高さが肝心。」
本来パンづくりは、人工大理石やステンレス製の作業台ではなく、保温性のある木製の作業台が向いています。ただし家庭でのパンづくりにはそれほど神経質になる必要はありません。むしろ、しっかりと力を入れてこねることのできる、作業台の「高さ」と「広さ」を確保しましょう。
軍手と愛用しているミトン
軍手とオーブンミトンは、オーブンから出したばかりの焼きたてのパンを扱うのに便利です。2枚重ねた軍手の上にオーブンミトンをはめて使用するのがおすすめです。
家庭用に開発された小型の発酵器
成形後のパン生地を最終発酵 ( 二次発酵 ) する際に使用します。一定の温度、発酵時間を設定することができ、生地に必要な湿度を保ちながら安定した状態で最終発酵することができます。
発酵器がない場合でも、低温設定機能のついたオーブンなどを利用して簡単に発酵することができます。詳しい方法については、Crumb and Crust の関連ページをご覧ください。