食パンの仲間
イギリスで生まれたパンで、日本では、山食パン ( イギリスパン )、角食パンなどと呼ばれ、フランスでは「Pain de Mie ( パン・ド・ミー ) 」と呼ばれます。
本国イギリスでは薄くスライスしてパック詰めされたものが殆どで、トーストにし、バターやジャムなどをつけたり、サンドウィッチなどにして食べます。小麦粉、水、塩、酵母の他、牛乳、バターなどの油脂成分が含まれ全粒粉を混ぜたタイプもあり、型 ( pan ) に入れて焼くのが特徴です。
日本ではどこのパン屋さんにも売っている食パンですが、フランスではクリスマスに食べるパンなのだそうで、クリスマス シーズンにしか食パンを作らないパン屋さんもあるそうです。
バゲットの仲間
日本ではバゲットの仲間は 「 フランスパン 」 と呼ばれていますが、本国フランスでは、「 Pain de Tradition (パン・ド・トラディション ) 」 と呼ばれ、製法からサイズにいたるまで、法律で決められているのだそうです。
ハード系パンの代表とも言えるバゲットは、フランス語で 「 杖 」 という意味。ほぼ同じ生地を使用したパンでも、丸い形なら「 Boule ( ブール ) 」、やや太めは「 Parisien ( パリジャン ) 」、「 中間の ( 合の子 ) 」 という意味の 「 Batard ( バタール ) 」、さらには文字通り小麦の 「 穂 」 の形をした 「 Epi ( エピ) 」 など、様々に変身します。形が変わればパリっとしたクラスト(皮の部分 )とクラム(中身の部分 )の食感のバランスや風味の広がりも変化します。
小麦粉、水、塩、酵母と素材はシンプル。時間が経つとクラスト( 皮 ) の食感が楽しめなくなり、翌日には硬くなるので、その日のうちに食べます。残ったものはパンサラダなどにしたり、スープに入れるなど、お料理に使用するのがおすすめです。
パン・ド・カンパーニュの仲間
フランス語の 「 Pain de Campagne ( 田舎パン ) 」 の名前の通り、かつてはパリ郊外でのみ作られていたパン。それが 「 パン売り 」 によってパリ市内で売られるようになり、この名前がついたとい言われます。
本来のパン・ド・カンパーニュは、焼きたてのパンを毎日買うことが難しかった田舎の暮らしから生まれたため、ゆっくりと発酵し、保存がきくように工夫されています。
一般に小麦粉、ライ麦粉、水、塩、酵母を使用しています。日本では、昔ながらの大きなサイズのシンプルなものから、ドライフルーツやチーズ、ベーコンなどが入ったものなど色々な種類があります。フランスでは地方によって様々な形があるそうです。
クロワッサンの仲間
フランス語で 「 三日月」 の名のクロワッサンは、もともとはウィーンの伝統的なパン。オーストリア王女としてフランスへ嫁いだ、マリー・アントワネットの連れて行ったパン職人によってフランスへ伝えられた、と言われています。フランスでは、クロワッサンのようなリッチな生地のパン、甘いパンの仲間を「Viennoiseries ( ヴィエノワズリ、『ウィーンのもの 』という意味 ) 」 と呼びます。
クロワッサンは小麦粉、水、塩、そして卵とバターをたっぷりと使った生地にバターの層を折り込んで作ります。シンプルなクロワッサンからレーズンやチョコレートを巻き込んだもの、アンチョビを巻き込んだものなど、日本でも様々なタイプがあります。
クロワッサンとほぼ同じ生地を使ってフルーツやナッツ、クリームをトッピングしたもの、風車、熊の手など様々な形に仕上げたペストリーは、フランスでは 「 Dannoise ( ダノワーズ、『デンマークのもの 』という意味 ) 」 と呼ばれます。
ピッツァの仲間
日本でもおなじみのイタリアのパンの仲間です。小麦粉、水、塩、酵母などで作った生地に、トマトソースやチーズをのせて石釜で焼きます。
イタリアのピッツァは北部のミラノやローマのものと、南部のナポリのものでは生地が全く違います。北部のピッツァは日本のイタリアン レストランなどでよく見かける生地がサックリと薄いタイプ。そして南部、特に有名なナポリのピッツァは生地が厚めです。
ナポリピッツァには様々な規定があり、使用する材料から大きさにいたるまで細かく決められています。生地にオリーブオイルも入れてはいけないことになっています。
家庭で作るナポリピッツァには、オリーブオイルを入れて家庭のオーブンに合った作り方をします。
ピッツァの原型と言われているのがフォカッチャ ( Focaccia )。こちらは小麦粉、水、塩、酵母で作った平たい生地に、岩塩、ハーブ、オリーブなど、様々なトッピングをし、オリーブオイルをかけて高温の石釜で焼きます。
ソーダブレッドの仲間
ドイツパンの仲間
日本では余りなじみのないドイツのパンですが、ヨーロッパのドイツ語圏には300種類以上のパンがあると言われます。
ドイツはライ麦パン発祥の地とも言われ、ライ麦粉を使ったものが数多くあります。これはヨーロッパでも北部にあるドイツなどの土壌が小麦の生産に向かないことから、比較的厳しい気候にも強いライ麦が育てられたことに由来しています。
プンパニッケルのようなドイツの伝統的なライ麦パンは、ライ麦粉、水、塩、サワー種というパン種のみで作られ、風味も豊かでしっかりと噛みごたえのあるのが特徴です。一般にドイツや北欧などでは、これらのパンを1cmにも満たない程に薄くスライスして、バターを塗り、酢漬けの魚、ハムなどの肉類、ピクルス、野菜、チーズなど、パンが隠れんばかりに様々なトッピングをして食べます。
フランスではライ麦パンは 「 Pain de Seigle ( パン・ド・セーグル ) 」 と言い、ドイツのものに比べ、色も質感も軽いものになっています。